Japanische Klassiker mit Furigana
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つぼたじょうじのあじ
坪田譲治の味
尾崎 士郎
Lesen Sie 坪田譲治の味 (つぼたじょうじのあじ) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.124 Zeichen · 11 Bildschirme
私たちと日夜を共にしていることにも心の隔たりというべきものがなく、私にとっては彼を自分の同輩と考えることの方が先輩扱いするよりもずっと自然であった。落第生という言葉は甚だ不遜であるが、人間関係においては、もっとも好適な状態を言いあらわしている。彼が「淡として水のごとし」というのは、わたしたちのあいだに反撥や敵愾心の発生する余地のなかったことを暗示する言葉である。私はこの不遇な落第生をもっとも尊敬していたし、何とかして彼を世の中へ押しだすことが自分たちの義務だと考えるようになっていた。私はその頃、川端康成とは特に親しく、文芸春秋の創成期をつくっていた佐々木味津三、横光利一とも交遊関係を持っていた上に、都新聞(現在の東京新聞)の文芸欄に、はじめて出来た「大波小波」の匿名欄を担当する無名批評家だったので、自分の自由になる匿名欄で、機会あるごとに彼の存在を強調した。大正十四年に、「正太の馬」が、最初に発表されてから六年目に、菊池寛の息のかかった「新小説」に再掲載されたときは、すでに彼を世の中へ押しだす準備が整っていた。都新聞の学芸部長は上泉秀信で、彼もまた坪田の心酔者の一人だった。