Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
もし年を祭り替えるなら、その災難からのがれることができる。こんなうわさがどこの国からともなくこの街道に伝わって来た。九太夫が言い出したこともこのうわさからで。
やがて宿役人らが相談の結果は村じゅうへ触れ出された。三月節句の日を期して年を祭り替えること。その日およびその前日は、農事その他一切の業務を休むこと。こうなると、流言の影響も大きかった。村では時ならぬ年越しのしたくで、暮れのような餅搗きの音が聞こえて来る。松を立てた家もちらほら見える。「そえご」と組み合わせた門松の大きなのは本陣の前にも立てられて、日ごろ出入りの小前のものは勝手の違った顔つきでやって来る。その中の一人は、百姓らしい手をもみもみ吉左衛門にたずねた。
「大旦那、ちょっくら物を伺いますが、正月を二度すると言えば、年を二つ取ることだずら。村の衆の中にはそんなことを言って、たまげてるものもあるわなし。おれの家じゃ、お前さま、去年の暮れに女の子が生まれて、まだ数え歳二つにしかならない。あれも三つと勘定したものかなし。」
「待ってくれ。」
この百姓の言うようにすると、吉左衛門自身は五十七、五十八と一時に年を二つも取ってしまう。