Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
第一章
一
その黒船の現われたため、にわかに彦根の藩主は幕府から現場の詰役を命ぜられたとのこと。
嘉永六年六月十日の晩で、ちょうど諏訪大社からの二人の代参が村をさして大急ぎに帰って来たころは、その乾ききった夜の空気の中を彦根の使者が西へ急いだ。江戸からの便りは中仙道を経て、この山の中へ届くまでに、早飛脚でも相応日数はかかる。黒船とか、唐人船とかがおびただしくあの沖合いにあらわれたということ以外に、くわしいことはだれにもわからない。ましてアメリカの水師提督ペリイが四艘の軍艦を率いて、初めて日本に到着したなぞとは、知りようもない。
「江戸は大変だということですよ。」
金兵衛はただそれだけを吉左衛門の耳にささやいた。
第一章
一
七月にはいって、吉左衛門は木曾福島の用事を済まして出張先から引き取って来た。その用向きは、前の年の秋に、福島の勘定所から依頼のあった仕法立ての件で、馬籠の宿としては金百両の調達を引き請け、暮れに五十両の無尽を取り立ててその金は福島の方へ回し、二番口も敷金にして、首尾よく無尽も終会になったところで、都合全部の上納を終わったことを届けて置いてあった。