Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
五
馬籠本陣のような古い歴史のある家柄に生まれながら、彼の目が上に立つ役人や権威の高い武士の方に向かわないで、いつでも名もない百姓の方に向かい、従順で忍耐深いものに向かい向かいしたというのも、一つは継母に仕えて身を慎んで来た少年時代からの心の満たされがたさが彼の内部に奥深く潜んでいたからで。この街道に荷物を運搬する牛方仲間のような、下層にあるものの動きを見つけるようになったのも、その彼の目だ。
五
「御免ください。」
馬籠の本陣の入り口には、伴を一人連れた訪問の客があった。
「妻籠からお客さまが見えたぞなし。」
という下女の声を聞きつけて、お民は奥から囲炉裏ばたへ飛んで出て来て見た。兄の寿平次だ。
「まあ、兄さん、よくお出かけでしたねえ。」
とお民は言って、奥にいる姑のおまんにも、店座敷にいる半蔵にもそれと知らせた。広い囲炉裏ばたは、台所でもあり、食堂でもあり、懇意なものの応接間でもある。山家らしい焚火で煤けた高い屋根の下、黒光りのするほど古い太い柱のそばで、やがて主客の挨拶があった。
「これさ。そんなところに腰掛けていないで、草鞋でもおぬぎよ。」
おまんは本陣の「姉さま」