Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
狸にでも化かされたように、ぼんやり妻籠へ帰ったのが八つ時ごろでしたさ。」
半蔵もお民も笑い出した。
寿平次はお民と二人ぎりの兄妹で、その年の正月にようやく二十五歳厄除けのお日待を祝ったほどの年ごろである。先代が木曾福島へ出張中に病死してからは、早く妻籠の本陣の若主人となっただけに、年齢の割合にはふけて見え、口のききようもおとなびていた。彼は背の低い男で、肩の幅で着ていた。一つ上の半蔵とそこへ対い合ったところは、どっちが年長かわからないくらいに見えた。年ごろから言っても、二人はよい話し相手であった。
「時に、半蔵さん、きょうはめずらしい話を持って来ました。」と寿平次は目をかがやかして言った。
「どうもこの話は、ただじゃ話せない。」
「兄さんも、勿体をつけること。」とお民はそばに聞いていて笑った。
「お民、まあなんでもいいから、お父さんやお母さんを呼んで来ておくれ。」
「兄さん、お喜佐さんも呼んで来ましょうか。あの人も仙十郎さんと別れて、今じゃ家にいますから。」
「それがいい、この話はみんなに聞かせたい。」
「大笑い。大笑い。」
吉左衛門はちょうど屋外から帰って来て、まず半蔵の口から寿平次の失敗話というのを聞いた。