Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
「お父さん、寿平次さんは塩野から下り坂の方へ出たと言うんですがね、どこの林をそんなに歩いたものでしょう。」
「きっと梅屋林の中だぞ。寿平次さんも狸に化かされたか。そいつは大笑いだ。」
「山の中らしいお話ですねえ。」
とおまんもそこへ来て言い添えた。その時、お喜佐も挨拶に来て、母のそばにいて、寿平次の話に耳を傾けた。
「兄さん、すこし待って。」
お民は別の部屋に寝かして置いた乳呑児を抱きに行って来た。目をさまして母親を探す子の泣き声を聞きつけたからで。
「へえ、粂を見てやってください。こんなに大きくなりました。」
「おゝ、これはよい女の子だ。」
「寿平次さん、御覧なさい。もうよく笑いますよ。女の子は知恵のつくのも早いものですねえ。」
とおまんは言って、お民に抱かれている孫娘の頭をなでて見せた。
その日、寿平次が持って来た話というは、供の男を連れて木曾路を通り過ぎようとしたある旅人が妻籠の本陣に泊まり合わせたことから始まる。偶然にも、その客は妻籠本陣の定紋を見つけて、それが自分の定紋と同じであることを発見する。に木瓜がそれである。客は主人を呼びよせて物を尋ねようとする。