Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
江戸は遠いなし。」
こんな言葉をかわしながら、三人とも日暮れ前の途を急いで、やがてその峠を降りた。
「お泊まりなすっておいでなさい。奈良井のお宿はこちらでございます。浪花講の御定宿はこちらでございます。」
しきりに客を招く声がする。街道の両側に軒を並べた家々からは、競うようにその招き声が聞こえる。半蔵らが鳥居峠を降りて、そのふもとにある奈良井に着いた時は、他の旅人らも思い思いに旅籠屋を物色しつつあった。
半蔵はかねて父の懇意にする庄屋仲間の家に泊めてもらうことにして、寿平次や佐吉をそこへ誘った。往来の方へ突き出したようなどこの家の低い二階にもきまりで表廊下が造りつけてあって、馬籠や妻籠に見る街道風の屋造りはその奈良井にもあった。
「半蔵さん、わたしはもう胼胝をこしらえてしまった。」
と寿平次は笑いながら言って、草鞋のために水腫れのした足を盥の中の湯に浸した。半蔵も同じように足を洗って、広い囲炉裏ばたから裏庭の見える座敷へ通された。きのこ、豆、唐辛、紫蘇なぞが障子の外の縁に乾してあるようなところだ。気の置けない家だ。
「静かだ。」
寿平次は腰にした道中差しを部屋の床の間へ預ける時に言った。