Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
幕府に三本マストの大船ができたのは、あれが初めてだと思います。ところが、どうでしょう。昌平丸を作る時分には、まだ螺旋釘を使うことを知らない。まっすぐな釘ばかりで造ったもんですから、大風雨の来た年に、品川沖でばらばらに解けてこわれてしまいました。」
「先生はなかなかくわしい。」
「函館の方にだって、二本マストの帆前船がまだ二艘しかできていません。一艘は函館丸。もう一艘の船の方は亀田丸。高田屋嘉兵衛の呼び寄せた人で、豊治という船大工があれを造りましたがね。」
「先生は函館で船の世話までなさるんですか。」
「まあ、そんなものでさ。でも、こんな藪医者にかかっちゃかなわないなんて、函館の方の人は皆そう言っていましょうよ。」
この「藪医者」には、そばに立って聞いている寛斎もうなった。
入港した外国船を迎え顔な西洋人なぞが、いつのまにか寛斎らの周囲に集まって来た。波止場には九年母の店をひろげて売っている婆さんがある。そのかたわらに背中の子供をおろして休んでいる女がある。道中差を一本腰にぶちこんで、草鞋ばきのまま、何か資本のかからない商売でも見つけ顔に歩き回っている男もある。