Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
という顔つきをして、安兵衛にも嘉吉にも握手を求め、寛斎の方へも大きな手をさし出した。このイギリス人は寛斎の手を堅く握った。
「手合わせは済んだ。これから糸の引き渡しだ。」
異人屋敷を出てから安兵衛がホッとしたようにそれを言い出すと、嘉吉も連れだって歩きながら、
「旦那、それから、まだありますぜ。請け取った現金を国の方へ運ぶという仕事がありますぜ。」
「その事なら心配しなくてもいい。先生が引き受けていてくださる。」
「こいつがまた一仕事ですぞ。」
寛斎は二人のあとから神奈川台の土を踏んで、一緒に海の見えるところへ行って立った。目に入るかぎり、ちょうど港は発展の最中だ。野毛町、戸部町なぞの埋め立てもでき、開港当時百一戸ばかりの横浜にどれほどの移住者が増したと言って見ることもできない。この横浜は来たる六月二日を期して、開港一周年を迎えようとしている。その記念には、弁天の祭礼をすら迎えようとしている。牡丹屋の亭主の話によると、神輿はもとより、山車、手古舞、蜘蛛の拍子舞などいう手踊りの舞台まで張り出して、できるだけ盛んにその祭礼を迎えようとしている。だれがこの横浜開港をどう非難しようと、まるでそんなことは頓着しないかのように、いったんヨーロッパの方へ向かって開いた港からは、世界の潮が遠慮会釈なくどんどん流れ込むように見え