Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
手を振り腰を動かす一つの影の次ぎには、またほかの影が動いた。この鄙びた舞踏の輪は九度も花嫁の周囲を回った。
その晩、盃をすましたあとの半蔵はお民と共に、冬の夜とも思われないような時を送った。半蔵がお民を見るのは、それが初めての時でもない。彼はすでに父と連れだって、妻籠にお民の家を訪ねたこともある。この二人の結びつきは当人同志の選択からではなくて、ただ父兄の選択に任せたのであった。親子の間柄でも、当時は主従の関係に近い。それほど二人は従順であったが、しかし決して安閑としてはいなかった。初めて二人が妻籠の方で顔を見合わせた時、すべてをその瞬間に決定してしまった。長くかかって見るべきものではなくて、一目に見るべきものであったのだ。
店座敷は東向きで、戸の外には半蔵の好きな松の樹もあった。新しい青い部屋の畳は、鶯でもなき出すかと思われるような温暖い空気に香って、夜遊び一つしたことのない半蔵の心を逆上せるばかりにした。彼は知らない世界にでもはいって行く思いで、若さとおそろしさのために震えているようなお民を自分のそばに見つけた。
「お父さん――わたしのためでしたら、祝いはなるべく質素にしてください。