Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
」
梅屋と本陣とは、呼べば応えるほどの対い合った位置にある。午後に、徒士目付の一行は梅屋で出した福草履にはきかえて、乾いた街道を横ぎって来た。大きな髷のにおい、帯刀の威、袴の摺れる音、それらが役人らしい挨拶と一緒になって、本陣の表玄関には時ならぬいかめしさを見せた。やがて、吉左衛門の案内で、部屋部屋の見分があった。
吉左衛門は徒士目付にたずねた。
「はなはだ恐縮ですが、中納言様の御通行は来春のようにうけたまわります。当宿ではどんな心じたくをいたしたものでしょうか。」
「さあ、ことによるとお昼食を仰せ付けられるかもしれない。」
婚礼の祝いは四日も続いて、最終の日の客振舞にはこの慶事に来て働いてくれた女たちから、出入りの百姓、会所の定使などまで招かれて来た。大工も来、畳屋も来た。日ごろ吉左衛門や半蔵のところへ油じみた台箱をさげて通って来る髪結い直次までが、その日は羽織着用でやって来て、膳の前にかしこまった。
町内の小前のものの前に金兵衛、髪結い直次の前に仙十郎、涙を流してその日の来たことを喜んでいるようなおふき婆さんの前には吉左衛門がすわって、それぞれ取り持ちをするころは、酒も始まった。