Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
何もかもお民にはめずらしかった。わずかに二里を隔てた妻籠と馬籠とでも、言葉の訛りからしていくらか違っていた。この村へ来て味わうことのできる紅い「ずいき」の漬物なぞも、妻籠の本陣では造らないものであった。
まだ半蔵夫婦の新規な生活は始まったばかりだ。午後に、おまんは一通り屋敷のなかを案内しようと言って、土蔵の大きな鍵をさげながら、今度は母屋の外の方へお民を連れ出そうとした。
炉ばたでは山家らしい胡桃を割る音がしていた。おふきは二人の下女を相手に、堅い胡桃の核を割って、御幣餅のしたくに取りかかっていた。その時、上がり端にある杖をさがして、おまんやお民と一緒に裏の隠居所まで歩こうと言い出したのは隠居だ。このおばあさんもひところよりは健康を持ち直して、食事のたびに隠居所から母屋へ通っていた。
馬籠の本陣は二棟に分かれて、母屋、新屋より成り立つ。新屋は表門の並びに続いて、すぐ街道と対い合った位置にある。別に入り口のついた会所(宿役人詰め所)と問屋場の建物がそこにある。石垣の上に高く隣家の伏見屋を見上げるのもその位置からで、大小幾つかの部屋がその裏側に建て増してある。