Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
」
出迎えの人たちに声をかけて、本陣の半蔵もそこへ一緒になった。半蔵は父吉左衛門の名代として、小雨の降る中をやって来た。
こうした出迎えにも、古い格式のまだ崩れずにあった当時には、だれとだれはどこまでというようなことをやかましく言ったものだ。たとえば、村の宿役人仲間は馬籠の石屋の坂あたりまでとか、五人組仲間は宿はずれの新茶屋までとかというふうに。しかし半蔵はそんなことに頓着しない男だ。のみならず、彼はこうした場処に来て腰掛けるのが好きで、ここへ来て足を休めて行く旅人、馬をつなぐ馬方、または土足のまま茶屋の囲炉裏ばたに踏ん込んで木曾風な「めんぱ」(木製割籠)を取り出す人足なぞの話にまで耳を傾けるのを楽しみにした。
馬籠の百姓総代とも言うべき組頭庄兵衛は茶屋を出たりはいったりして、和尚の一行を待ち受けたが、やがてまた仲間のもののそばへ来て腰掛けた。御休処とした古い看板や、あるものは青くあるものは茶色に諸講中のしるしを染め出した下げ札などの掛かった茶屋の軒下から、往来一つ隔てて向こうに翁塚が見える。芭蕉の句碑もその日の雨にぬれて黒い。
間もなく、半蔵のあとを追って、伏見屋の鶴松が馬籠の宿の方からやって来た。