Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
「おれか。おれは何も考えていない。ただ、こうしてぼんやりしている。お前とおれと、二人一緒になってから百日の余にもなるが――そうだ、百日どころじゃないや、もう四か月にもなるんだ――その間、おれは何をしていたかと思うようだ。阿爺の好きな煙草の葉を刻んだことと、祖母さんの看病をしたことと、まあそれくらいのものだ。」
半蔵は新婚のよろこびに酔ってばかりもいなかった。学業の怠りを嘆くようにして、それをお民に言って見せた。
「わたしはお節句のことを話そうと思うのに、あなたはそんなに考えてばかりいるんですもの。だって、もう三月は来てるじゃありませんか。この御通行が済むまでは、どうすることもできないじゃありませんか。」
新婚のそもそもは、娘の昔に別れを告げたばかりのお民にとって、むしろ苦痛でさえもあった。それが新しいよろこびに変わって来たころから、とかく店座敷を離れかねている。いつのまにか半蔵の膝はお民の方へ向いた。彼はまるで尻餅でもついたように、後ろ手を畳の上に落として、それで身をささえながら、妻籠から持って来たという記念の雛人形の話なぞをするお民の方をながめた。