Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
「お前たちも行って殿様をお迎えするがいい。」
と松雲は二人の弟子にも寺男にも言った。
旅にある日の松雲はかなりわびしい思いをして来た。京都の宿で患いついた時は、書きにくい手紙を伏見屋の金兵衛にあてて、余分な路銀の心配までかけたこともある。もし無事に行脚の修業を終わる日が来たら、村のためにも役に立とう、貧しい百姓の子供をも教えよう、そう考えて旅から帰って来た。周囲にある空気のあわただしさ。この動揺の中に僧侶の身をうけて、どうして彼は村の幼く貧しいものを育てて行こうかとさえ思った。
「和尚さま。」
と声をかけて裏口からはいって来たのは、日ごろ、寺へ出入りの洗濯婆さんだ。腰に鎌をさし、※草履をはいて、男のような頑丈な手をしている山家の女だ。
「お前さまはお留守居かなし。」
「そうさ。」
「おれは今まで畠にいたが、餅草どころじゃあらすか。きょうのお通りは正五つ時だげな。殿様は下町の笹屋の前まで馬に騎っておいでで、それから御本陣までお歩行だげな。お前さまも出て見さっせれや。」
「まあ、わたしはお留守居だ。」
「こんな日にお寺に引っ込んでいるなんて、そんなお前さまのような人があらすか。