Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.374 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうか」

と言った神尾主膳は、じっとそのギヤマンの小コップに盛られた黄金色を見つめたまま、手に取ろうとしませんでした。

いつもならば、こちらから催促して、キュッとひっかけるはずのところを、今日は妙に手を出さないものだから、お絹が、

「どうあそばしたの、イヤに御遠慮をなさるのねえ」

「うむ」

「何をそんなに考えていらっしゃるの」

「今日は精進日だ」

「そんなに精進というものは附いて廻るものですか知ら、わたし、気になりますわ、そんなに精進精進とおっしゃられると、わたしまで気が滅入ってしまいます」

「いや、悪く取るなよ、実は飲みたいんだ、咽喉から手が出るほど飲みたいんだが――これを一杯飲むとあとを引く」

「たんとお引きなさいな、そんなに幾つもいただけるお酒ではありません」

「一杯あとを引けばまた一杯――しまいにはお前を夜通し寝かさない」

「そんなこと、苦になりませんよ」

「それだけならいいが、拙者の病が出る、久しく酒乱の見せ場を出さなかったが、こいつは急に自分を誘惑する、手つかず人を酒乱に落しそうな酒だ、今晩は我慢しよう」

「そうおっしゃるなら、免して上げましょう、今晩はあなたの精進をさまたげないで上げましょう、では、わたしが代って」