Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

て参りました」

「ああ、そうか……」

駒井が、こうも抑えきれない無念の色を現わすことは、今までにあまり例のないことでありました。

「もう、安心なさい、マドロスの奴、酒の上とは言いながら、許し難き奴」

駒井は、やはり抑え難い怒気を含んで、そうしてその手はぐんぐんと、もゆる子を引き立てて、そうして陣屋の方へ急ぎました。

帰って駒井は、手早くキャンドルをともして見ると、狼藉のあとは、女の言うことを如実に証明しているが、当の暴行者の姿は見えない――ただ、茂太郎の声としてしきりに泣き叫ぶのが聞える。

駒井と兵部の娘とは、その声を聞きつけて飛んで行って見ると、茂太郎は蒲団の上に仰向けに抑え込まれている。茂太郎を抑え込んでいるのは人間の力ではなく、漁に使用する網を上から押しかぶせて蒲団もろともにグルグル巻きにしてあるのでありました。

そして、手も足も出ない茂太郎は、声だけを上げて叫んでいる。

その網を取払って、そうして、茂太郎の口から聞くところによれば、熟睡中に不意に襲いかかって、自分の口をおさえ、その上をこの通り十重二十重に包んでしまった者がある。しばらくもがいた後に、ようやく咽喉の自由だけが出来たから、さいぜんから叫びつづけているが、身の自由は利かない。