Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

、案の定、ある日、

「――うさばらしに田辺で遊んで来ますよ」

と、そわそわ出掛けて行ったきり、宿へ戻って来なかった。

蒸気船の汽笛の音をきいた途端に、逐電しやがったとわかり、薄情にもほどがあると、すぐあとを追うて、たたきのめしてくれようと、一旦は起ち上がったが、まさか婆さんを置き去りにするわけにもいかず、折柄、

「――古座谷はん、済まへんけど、ししさしたっとくなはれんか」

と、情けない声をだした婆さんの方にかまけて、思い止まり、背中にまわっていつもお前がしてやっていたように、存外思い腋の下を抱え起し、尿をとってやった。ごつごつした身体だった。

それから、四五日も看病してやったろうか、いよいよ宿や医者への支払いにさし迫られたので、たまりかねて婆さんを背負って、綱不知から田辺へわたり、そこから船で大阪へ舞い戻るまで、随分おれは情けない目を見た。みなお前のせいだ。

四

高津の裏長屋の二階へ帰って四日目におかね婆さんは、息をひきとった。

身寄りの者もないらしく、また、むかしの旦那だと名乗って出る物好きもなく葬儀万端、二三の三味線の弟子と長屋の人たちの手を借りて、おれがしてやった。