Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おんなごころのつよければ

女心の強ければ

豊島 与志雄

Lesen Sie 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.011 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

女中は火鉢に炭をつぎ、炬燵にも火を入れた。夜分は河風が冷えるのであろうか。

風呂のことを聞かれると、千代乃は長谷川に相談もせず、いらないと答えた。

「お料理と、それから、お酒をね。」

途中とちがって、彼女はもうあまり口を利かなかった。

この家が気に入らないのか。それとも、疲れたのか。どちらでもない、と彼女は言った。

「なんだか、たいへん遠くへ来たような気がするの。」

「僕は、今朝から、たいへん長い時間がたったような気がする。」

沈黙にふさわしい夕暮だった。長谷川は洋服をぬいで丹前をはおったが、千代乃は着換えなかった。

「このまま帰らなかったら、どうでしょう。」

「帰らないって、東京へ。」

「いいえ。なんと言ったらいいかしら……。これまでのあらゆるものを、すっかり捨て切って、新たに生れ変る、というような……。」

「そんなことなら、あなたはもう決心してるんでしょう。」

「しています。けれど、なんだか頼りなくなってきたの。」

彼女は手を伸べて、長谷川の手を強く握りしめた。

「どんなことがあっても、わたしを見捨てなさいませんわね。」

「よろしい。誓いましょう。」

「わたし、ほんとに惨めですの。