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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうじんぶつ

好人物

佐々木 邦

Lesen Sie 好人物 (こうじんぶつ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.609 Zeichen · 107 Bildschirme

Aozora Bunko

と一晩の中に「橋弁慶」を上げてしまった。何ういう教え方をするのか知らないが、お師匠さんもお師匠さんならお弟子さんもお弟子さんだ。親友が落城すると、千吉君はもう一も二もなかった。急転直下、内藤村島両夫人のお礼詣りとなり、その又お礼返しに橋口君が「鵺」を歌いに来た晩が千吉君の家の稽古日と定った。

「奥さん、宜しゅうございましょうね?」

と念を押された時、安子夫人はニッコリとして、

「結構でございますわ」

と答えたが、心甚だ平かならぬものがあった。これで千吉君は絵が一回、碁が定期一回臨時一回、謡曲が橋口君のところと家で各一回、週日中閑な晩は一晩になってしまった。

「あなた、もう何と云っても仕方ありませんから、日曜丈けはせめて家にいて下さいましね。いくら子供がないと申しても余りでございますよ」

と安子夫人は泣き声を出した。

ところで、今又その貴い日曜日に千吉君を誘い出しに来たものがある。

「御主人はお宅でございますか?」

と玄関に現れたのは矢張り同僚の大場君だった。

「いらっしゃいますが、何方さまでございますか?」

とお里が切り口上で伺った。しかし千吉君は折から茶の間に居合せて聞きつけたから、取次の面倒もなく、