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Japanische Klassiker mit Furigana

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ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme

Aozora Bunko

眼が闇に慣れるに従って、星空の下の墓地や建物が、薄りと見分けられた。

その煉瓦塀は、所々煉瓦がくずれていた上に、昔門扉があったと覚しき個所が、大きく、何かの口の様に開いて、その内部は、一面に足を埋める叢であった。

相川青年は、見張りの者でもいはしないかと、闇をすかして確めてから、まるで忍術使いの様に、物の蔭を伝いながら、叢のそよぎにも注意して、煉瓦塀の中へと辷り込んで行った。叢の中に、真黒な怪物が蹲ってでもいる様に、和風の平屋が建っていたが、内部に人のいる様子もなく、物音は勿論、一点の光も見えなかった。

相川青年は、叢にしゃがんで、身体で覆い隠す様にして、ライターをつけ、その光で腕時計を見た。十一時四十分だ。

それから十二時までの二十分を、彼はどんなに長々しく感じた事であろう。彼は、叢の中の灌木の蔭に身を隠して、煉瓦塀の口を開いた個所と、正面の建物とを、若しそこから何者かが入って来はしないか、若し家のどこかから光が漏れはしないかと、そればかりを待ち構えていた。

彼はそれ程真剣に凶事を待ち構えながら、何かしら夢を見ている様な、奇怪な遊戯に耽っている様な気持で、心から、現実の人殺しなどを想像することは出来なかった。