Japanische Klassiker mit Furigana
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme
赤い蠍
そして、どこかへ逃出そうとするものの様に、いきなり、丁度相川青年の覗いていた雨戸の隙間の方向へ二三歩よろめいた。殆ど一刹那ではあったが、女の全身を見る事が出来た。
相川青年はそれを見ると、思わずアッと叫び相になった。彼は女の顔を見たのだ。そして、その顔が決して彼の知らないものではなかったのだ。
赤い蠍
(アア、あれは春川月子だ。やつれてはいるけれど、スクリーンで顔馴染の春川に違いない。春川がこんな所に押込められているんだな)
春川月子というのは、東京近郊にスタディオを持つ、M映画会社の大幹部女優で、この春、ある大新聞がミス・ニッポンの投票募集をした時、第一席に当選した程の美人でもあり、人気者でもあった。
その映画女王が、今から五日以前、突然行方不明となった。彼女は毎朝十時頃に起床する慣らわしであったが、その日は十一時を過ぎても、寝室のドアが閉まったまま、ヒッソリとしていたので、お弟子兼小間使の少女が、不審を起して、寝室へ入って見ると、ベッドはもぬけの殻であった。
ベッドの毛布は、ちゃんと裾の方に畳まれ、真白なシーツが露出していたが、その真中に一点赤いものが見えた。