Japanische Klassiker mit Furigana
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme
云われて見ると、外側は確かに拵えものの衣裳に相違ない。動いているのは中の人間なのだ。巨虫の殻を被った人間なのだ。
「T劇場でこんな芝居をやっているんじゃないのかい」
一人の若い事務員が、そんなことを云った。
近くにあるT劇場の楽屋から、扮装のまま這い出して来たというのは、面白い想像であった。だが、T劇場にはそんな昆虫劇など演じられてはいなかったのだ。
人間と分って安心した小使さん達が、再び怪物に近づいて行った。よく調べて見ると、蠍の胸の所が割れるようになっている。そこを押し開いてみると、黒い背広服が現われて来た。
「やっぱり人間だ。若い男だ」
やっとの事で虫の衣裳を脱がせると、病人のように元気のない一人の洋服青年が、ペーヴメントの上にグッタリとなった。いくら呼びかけても、まだ返事をする気力がなかった。
「病人だぜ。早く医者へつれて行かなきゃ」
「それよりもお巡りさんに引渡した方がいいぜ」
呼びに行くまでもなく、騒ぎを聞きつけて、そのお巡りさんがやって来た。
「オイッ、しっかりし給え。どこが悪いんだ。君は一体どこからやって来たんだ」
警官に背中をぶちのめされると、若者はやっと目を見開いて、不安らしくあたりを眺めた。