Japanische Klassiker mit Furigana
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よめとりにだいき
嫁取り二代記
山本 周五郎
Lesen Sie 嫁取り二代記 (よめとりにだいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.763 Zeichen · 23 Bildschirme
「嘘、嘘です!」
お笛は必死に遮った、「これはわたくしが勤めに出ておりました頃、厭がるものを跟け廻していただけの人、何の関係もございませぬ」
「冗談じゃねえ、今更そんな事を云ったって通るものか。現に旦那――こうして寝所へ忍んでくるのも今夜が初めてじゃありやせん、実はこの小笛の手引で三日にあげず逢いにきているのでございますよ」
「まあ、よくもそんな空々しい」
「そういうおめえの方がいけっ太えや。なんだろう――そろそろ金のねえおいらに厭気がさしたので、こっちへ寝返りを打とうと」
「黙れ、黙れ!」
勘兵衛は大声に遮って云った。
「お笛、わしはその方を信じている、だが、――この場合はそれだけでは済まぬぞ、その方はやがて直次郎の妻にもなるべき躰じゃ。相手は例え落破戸にもせよ、不義があったと申すからには、武士の妻としてただないとだけでは通らぬ……よく落着いて所存を決めい」
「――はい」
お笛はじっと勘兵衛の眼を見上げた。
勘兵衛の心は烈しく痛んでいた、あの酒の日からこのかた、勘兵衛は実の娘を一人儲けたように思われて、老いの身の朝夕、お笛を見るのが何よりの娯しみになっていたのだ、――しかし、嘘にもせよかかる無頼の徒に不義ありと云われて、虚実が判然せぬとすれば、一藩の国老を勤める家の嫁に娶る事はできない。