Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よめとりにだいき

嫁取り二代記

山本 周五郎

Lesen Sie 嫁取り二代記 (よめとりにだいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.763 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「は、はい――」

咽びながら手をつくお笛の、顫える肩先を見やった勘兵衛の胸に、覚えて以来かつて感じたことのない、ふんわりと甘く温い愛情が強く強くふくれあがってきた。

――またしてもわしの負けじゃ。

勘兵衛は独り明るく呟いた。

六

「――あれっ」

お笛は愕然と振向いた。――有明行燈の灯を細くしていま寝衣に着換えようとしていた時、横手の小窓が外から引外されて、一人の男がぬっと跳込んできたのだ。

「誰、誰ですっ」

「騒ぐな、静かにしろ」

男は端折っていた裾を下ろし、顔の手拭を脱ると、

「おれだ、驚いたか」

と云いながらどかっと坐った。

「ま! 伝吉さん」

「それでも忘れずにいてくれたかい、へっへ……、おらあずいぶん探したぜ」

色の浅黒い、眉の上に疵のある、眼つきの卑しい男だ、福山城下で、「疵の伝吉」と云えば無頼仲間でも通り者である。お笛が芸者に出た時分から跟けつ廻しつ云い寄っていたのだ。

「おめえの為にゃあ三年というあいだ、爪を剥がねえばかりにして貢いでいたぜ、仲間にゃあ嗤われる世間は狭くする、あげくの果てにおめえはどろんときた。へ! 全くいい面の皮、鯉の滝登りだ」

男はぐいと膝を立てて、「だがの小笛、仲間の手前にもおらあ黙ってすっ込んじゃいられねえのだ、こうして探し出したからには、例え三日でも女房にしなけりゃ承知ができねえ