Japanische Klassiker mit Furigana
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よめとりにだいき
嫁取り二代記
山本 周五郎
Lesen Sie 嫁取り二代記 (よめとりにだいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.763 Zeichen · 23 Bildschirme
「忝う存じまする」
女は韻の深い声で、低頭しながら云った、「不束者のわたくし、お慈悲に甘えてお世話さまになりまする、どうぞよろしゅう……」
「う、うん」
勘兵衛まごついて脇を向いたが、
「直次郎、ちっと来い」
と云って築山の方へ去った。直次郎は女へにこりと微笑み、心配するなと云うぜをしながら伯父の後を追った。――勘兵衛は近寄ってくる甥の面前へ華鋏を突出しながら、
「この野郎!」
と喚きたてた、「ならず者め、又してもわしをはめおったな、あれは何じゃ、女ではないかこの――」
「別に私は女でないとは申しませぬ」
「ないと云わんでも女でないと思わせるような風に云い拵えたで――ええ面倒臭い、だいたい未だ妻帯もせぬ身上で、どこの何者とも知れぬ女を」
「いや承知しております」
直次郎は逃げ腰になりながら云った、「彼女は新町の小笛と云う芸者です」
「な、な、なに――芸者?」
「芸者は芸者ですが血統は武家の出で、どこへ出しても恥しからぬ」
「この野郎――っ」
いきなり勘兵衛が掴みかかった。直次郎はひらりと躱して、咲きはじめた老梅の向うへ廻り込んだ、勘兵衛は苛って追う。
「待ちおれ!」