Japanische Klassiker mit Furigana
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よめとりにだいき
嫁取り二代記
山本 周五郎
Lesen Sie 嫁取り二代記 (よめとりにだいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.763 Zeichen · 23 Bildschirme
勘兵衛も今度ばかりは茫然となった。茫然となったがしかし、どこまでも「いかん」とは云わなかった、それには訳があるので――その訳は後に記すこととしよう。
直次郎は正月二十八日、主君伊勢守に従って江戸へ発足した。――出立する時、直次郎はたったひと言、
「伯父上、お預け申しましたぞ」
と云ったきりだった。勘兵衛は、
「よし預った、だが預った以上、万一不始末でも仕でかしたら、断りなしに斬って捨てるから承知しておれ」
と云った。
勘兵衛のつもりでは、どうせ若い直次郎のことだから、妓の甘言に迷わされて、当座の熱をあげているのだろう、ぐらいにしか思っていなかった。妓もまた直次郎が牧屋家の跡継ぎであるというところに眼をつけたので、あわよくば国家老七百石の奥に直ろうと云う魂胆に相違あるまい、――とすれば一年の江戸在番を幸い、そのあいだに充分前後の処置をする事ができると考えたのだった。
お笛は屋敷内の西隅にある直次郎の住居の、茶室造りになっている離室に起き臥ししていた。――そこは前庭が四条流の風雅な泉石で、中庭の方の茶席とは別に、勘兵衛が時折自分一人の茶をたのしむ場所にしていたのである。