Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
と云いながら、席につくと、青ざめた顔をして、低い声で、次の様な奇妙な身の上話を始めたのである。
「僕の身の上は誰にも打あけたことがない。実を云うと僕自身でさえハッキリは分らない位だ。何故ハッキリ分らないかということを、君丈けに話して置こうと思う。そして、僕のある恐ろしい疑いをはらす仕事に、君にも協力して貰いたいのだ。その仕事というのは、つまり初代さんや深山木氏の敵を探すことでもあるんだから。
君はきっと、今まで僕の心持ちに不審を抱いていたに違いない。例えば、何故僕が今度の事件に、こんなに熱心にかかり合っているか、何故君の競争者になって、初代さんに結婚を申込んだか、(君を慕って、君達の恋をさまたげようとしたのは本当だが、併しそれ丈けの理由ではなかったのだ。もっと深い訳があったのだ)何故僕が女を嫌って男性に執着を覚える様になったか、又、僕は何が為に医学を修め、現にこの研究室で、どんな変てこな研究を続けているか、という様なことだ。それが、僕の身の上を話しさえすれば、凡て合点が行くのだ。
僕はどこで生れたか、誰の子だか、まるで知らない。育ててくれた人はある。