Japanische Klassiker mit Furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
それと比べると多吉の兄の丈吉の顔は切実な現実の中からうかんでくるだけに悲劇的な印象によってぬりつぶされてしまっている。自分の身にふりかかる危険の予想はむしろ丈吉のひた向きな感情の中に芽をふいているとも言えよう、――伍一はひやりと胸に来るものをかんじて足早にあるきだした。
舟形の家は彼の家から十町足らずのところにある。郊外の屋敷町はしいんとしずまりかえってときどきトタン屋根からすべり落ちる雪のかたまりがずしんずしんと大きな音を立てた。舟形は戸をしめきった二階の書斎の中でぼんやり机にもたれていたが勢いこんで入っていった彼の顔を見ると、
「どうだい?」
とせせら笑うような微笑をうかべた。「何かはじまったそうじゃないか、――」
「だからさ」
伍一は長火鉢の前へぐったりと腰をおろした。「今日の結婚式はどうなるのかと思ってね?」
「別にどうというわけでもないだろう、おれたちにとっちゃあ」
舟形は高をくくったような落ちつきを見せながら言った。「正午すぎになってから出かけてみようと思うんだがね――」
その日彼等の先輩である老作家、秋山無弦の長女が新進作家の高垣と結婚することになって舟形はその媒酌人になっているのである。