Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとゆきのにっき
山と雪の日記
板倉 勝宣
Lesen Sie 山と雪の日記 (やまとゆきのにっき) von 板倉 勝宣 (いたくらかつのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.279 Zeichen · 67 Bildschirme
スキーの足も自ら遅く、ヴンテンさんの影が五色の空の中へ遠くなるのもかまわず、うっとりと雪の平原を滑って行く。はてもなく歩きたい。何かいいたい。「まるでスイスだ」と行ったこともない自分は叫んだ。右手の小高い岳には樅の森が、この美に立ちすくんだように黒く見える。「いいな、たまらないな」という松方と坊城の独言がかなり後ろで聞えた。山がこんなに赤く燃えようとは思わなかった。そしてなんという静かな大きさであろう。スキーが静かに滑って、賽の河原にきたころ日はようやく暮れて行った。この峰からたくさんな沢が下って、その行手の平野に島のように見える山の右手に黒く見えるのが福島であろう。しかも下の谷には、一軒の家さえ見えなかった。「この見当でしょう。さあ行きましょう」とウ氏の姿は下へ下へ滑った。やがて一つの小川を渡った。五時を過ぎたばかりだのにもうよほど暗くなってきた。谷はようやく陰欝な闇に包まれて行く。右手には沢が出てきた。福島のあかりが遠く、かたまって光る。ややはなれて、もっと左によほど近く庭坂の光が見える。しかし暮れた山から陰気な谷をひかえて見えるあかりは懐しいよりも、やるせない気がする。