Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとゆきのにっき

山と雪の日記

板倉 勝宣

Lesen Sie 山と雪の日記 (やまとゆきのにっき) von 板倉 勝宣 (いたくらかつのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.279 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

時々静かな雪の天地を木がらしがサーと針葉樹の枝をふるわせて通ると、ハラハラと落ちる雪が頬をうつ。風のわたる枝を見あげて、耳を澄していると、すぐ上でウ氏が「いい音ですね」と、やっぱり聞きほれていた。技巧を交えぬ音だ。雪と林のささやきだ。木の間越しに高倉の後に槍ガ岳のような山が見え出した。その山に目を注ぎながら、急なところで悠々と方向転換をやる気持ちったらない。沢を越えきると、ゆるい傾斜の雪の上に、ところどころに針葉樹が瞑想にしずんでいるように立っていた。この広い傾斜を下へ下った時に自分達は、ほんとうに驚かされた。山の上の広い雪の原に、五葉の松や樅がぽつりぽつりと取り残されたようにたたずんで、この白い傾斜のはてに、山が、遠くの山々が夕日にあかあかと燃えていた。雪の山が燃えるんだ。いや輝くんだ。そして空は、赤からオレンジとだんだん変って、やがては緑色までうつって行く。ああ自分は、いまこそ生きている。美の感じと、感嘆の叫びが、行きづまった時、自分は、蒸発して行くんじゃないかとすら思った。呼吸をすると、あの燃える山も、五色の空も、呼吸する。空間を越え、時を越え、狭い五感の世を越えて、今は、宇宙の源さしてとけこんで行く。