Japanische Klassiker mit Furigana
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げんだん
幻談・観画談 他三篇
幸田 露伴
Lesen Sie 幻談・観画談 他三篇 (げんだん) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.544 Zeichen · 161 Bildschirme
よしんば餌入れがなくて餌を保てぬにしても、差当り使うだけ使って、そこらに捨てて終いそうなものである。それが少年らしい当然な態度でありそうなものであらねばならぬのである。
お前も今日はもう帰るのかい。
アア、夕方のいろんな用をしなくてはいけないもの。
夕方の家事雑役をするということは、先刻の遊びに釣をするのでないという言葉に反映し合って、自分の心を動かさせた。
ほんとのお母さんでないのだネ。明日の米を磨いだり、晩の掃除をしたりするのだネ。
彼はまた黙った。
今日も鮒を一尾ばかり持って帰ったら叱られやしないかネ。
彼は黯然とした顔になったが、やはり黙っていた。その黙っているところがかえって自分の胸の中に強い衝動を与えた。
お父さんはいるのかい。
ウン、いるよ。
何をしているのだい。
毎日亀有の方へ通って仕事している。
土工かあるいはそれに類した事をしているものと想像された。
お前のお母さんは亡くなったのだネ。
ここに至ってわが手は彼の痛処に触れたのである。なお黙ってはいたが、コックリと点頭して是認した彼の眼の中には露が潤んで、折から真赤に夕焼けした空の光りが華しく明るく落ちて、その薄汚い頬被りの手拭、その下から少し洩れている額のぼうぼう生えの髪さき、垢じみた赭い顔、それらのすべてを無残に暴露した。