Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
Lesen Sie 幾度目かの最期 (いくどめかのさいご) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 59.103 Zeichen · 121 Bildschirme
女は子供の成績をいつものようにきいた。眼鏡をかけた女教師は、いつものようにほめた。女は角封筒を出し、子供の母親へ渡してくれとたのんだ。
女は校門で始業のベルをきいた。女はアスファルトの道で、「おばちゃん」という声をきいた。三階の教室で、先刻の男の子が体をのり出して手をふっていた。女はそれにこたえた。手を振った。
――八年になる――
女はつぶやいた。
女は足早に階段をのぼりつめた。右手のガラスのはいったドアをあけると、薬と香水と女のにおいが押し流れて来た。美容院。
女は顔みしりの小さい女の子を呼んだ。
「この頃、男爵夫人おみえになる?」
「えゝ、毎週一回は必ず」
「今度は何日」
「明後日」
「お渡し願います」
女はハンドバッグのとめがねをならして角封筒をとりだし、白い布で体全体を掩っているモルモットのような感じのその女の子にそれを手渡した。
街は暮れはじめた。女は歩みをはやめなかった。
黒い板塀。黒い門。女はくゞり戸を開けた。竹の影が石畳の玄関までの道にくっきりとうつっていた。女は黙ったまゝ木の押戸をあけて庭へはいった。
「阿難、帰って来てくれたのだね。昨夜一晩まっていた」