Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
Lesen Sie 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.840 Zeichen · 88 Bildschirme
四の二
そして気絶でもしたような母と姉をしり眼に、颯爽と、――だが涙で白粉のすっかり斑になった顔のまま――その部屋から出ていった。
四の二
山治家で津留が大いに気を吐いていたとき、城中では泰三が興味津々たる叫びをあげていた。彼は周囲に古帳簿をちらかし、机の上になにやら細密に数字を書き列ねた長い巻紙をひろげ、それと帳簿と照合したり分類したりしながら、「ははは、いやどうも、や、これはこれは、ふーん、いやどうも、や、こいつはどうも」
独りでこんなことを叫び、なにやら書き込み、片方の帳簿と片方の帳簿をつきあわせ、朱で記号を入れ、それからまた「ははは」などと笑い、やがては手拭を出して鉢巻をして、殆んど夢中で、さも面白くて堪らないというようすで、――夜の明けるまでその仕事に没頭した。そしてこれが、発生した「芽」の他の一つだったわけである。
泰三は三日のあいだ家へ帰らなかった。四日めの朝、まだ暗いうちに帰った彼は、裏の通用口から台所へとびこんで、「すぐなにか食わして呉れ」と、そこの板間へ坐りこんだ、「いいんだよ冷飯で結構だ、湯をぶっかけて食うから味噌と沢庵でも出して呉れ」