Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

Lesen Sie 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.840 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

四の三

と、ちょうど津留が廊下を曲ったと思えるとき泰三はがばと夜具を蹴ってとび起き、「えっ」と異様な声をあげた。

「な、なんですって、結婚……」

それから周囲を眺めまわし、首を捻り、ちょっと考えてから、左のように呟いて、どたっとまた横になった。

「なんだ、夢か、びっくりさせやがる」

四の三

泰三の古帳簿検算は熱烈なるものとなった。彼は殆んど城に詰めっきりで、殆んど夜と昼の区別なしに恪勤精励した。それは熱烈というより狂熱的であり、煩瑣論的にさえなった。なぜかというと、彼は絶えず帳簿の出し入れを間違える、検算済みだといって返したのを「あれは未済だったから」と取りに来る。また甲の役所のそれと乙の役所のそれを間違えて返し、それを四五日も経ってから思いだして、慌てて両者を返し替えたり、返し替えてみたら間違えたと思ったのが間違いでまた元のように返し替えたり、甲乙丙丁戊それぞれがどれをどこへ戻したかわからなくなって、とんでもない帳簿がとんでもない役所へ紛れ込んだりした。

「私にはもうなにがなんだかわからない、あの男の顔を見ると寒気がして眼がくらんで、なにか乱暴な事がしたいような気持になる」