Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
Lesen Sie 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.840 Zeichen · 88 Bildschirme
四の四
泰三は無精髭を生やし、むくんだような顔で、赤く充血した眼をしていたが、しかし元気は満々たるものらしい、挨拶が済むのを待ちきれぬように、まず知宣から問いかけた。大名となっても金に関する限りは、そこは凡夫と大差がないものとみえる。
「そうですとも、殿は金満家です」泰三は印判を捺すように答えた、「――それについては明後日、御前会議を開いて申上げますから、これに書いてある者、……全部で四十三人になりますが、これらの者をお召しになって下さい、そのとき詳しく御説明を致します」
四の四
余白の関係上、ここですぐさま御前会議に移ることにするが、その召集人員は殆んど全重職と現役退役を通じて、各奉行所の事務主任と主事などに及ぶもので、例の金吾六平太一派や、その弾劾者である野村吉太郎一派も加わっていた。このなかで、野村一派は生色に溢れてみえた。かれらは肩肱を張り、眼を光らせて不当利得派をねめまわし、それから互いに頷き、こう囁き合っていた。「いよいよ時節到来だぞ」「さよう典木はやはり正義の士だった」「大集会の席で摘発とはさすがではないか」「金吾一派を見ろ、もうすぐ青菜に塩だぞ」