Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

Lesen Sie 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.840 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

の日課をやったのだが、終って風呂舎を出たとき、台所がたいそう賑やかなのを聞きつけ、なにごとかと思って覗いて見たのであった。彼女がなにを発見したかは云うまでもあるまい。ひと眼その光景を見るなり、さすがの津留が「まあ」と叫び声をあげた。

「やあお早う」泰三はこっちを見て、皿を一つはねとばしながら手を挙げた、「腹が減ったもんでね、やってるところです、貴女もよかったらどうです、朝の茶漬というのも乙なものですよ」

台所にいた召使たちはみな立竦んで、息をのんだ。この令嬢は怒ると容赦がない、がんがんがんと、それこそ父の右衛門以上に荒れるのである。どうなることか、今にも雷が鳴りだすか、こう思っていると、津留はすばやくあたりへ眼を走らせ、「そうね、ではお相伴いたしますわ、まつやわたくしのも支度して頂戴」

そして泰三の側へ坐った。それからのことは書かないほうがよかろう。彼女は喰べ終って台所を出るときさも満足そうに泰三を見て、「朝の茶漬ってほんとに乙ですわね」こう云って、それから低い声で、「――ねえ泰三さま、これから内証で毎朝頂きましょうよ」

「いやそれがだめなんです、また暫くお城へ泊り込まなくちゃなりません」