Japanische Klassiker mit Furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme
ような、そんな軽はずみなものじゃあないんだ」こう云っているうちに、伝七郎の眼からすばらしく大粒の涙がぽろぽろとこぼれ、その一滴がちょうど口のところへ持って来た盃の中へ落込んだ。人間の習慣は面白いもので、伝七郎はそれが豆粒ででもあるかのように、慌てて摘み取ろうとしたのは奇観であった。「あいつはそういう人間だ」と忠太が、くいしばった歯の間から、呻くように云った、「あいつは世の中に、怖いものはねえと思ってる、もう四年ばかりまえの事だ、久しぶりで大手先で行会ったから声をかけたんだ、こっちが少し酔っていたせいもある、それでなくってあんな野郎に口を利くんじゃあねえ、ほろ酔いでいい心持だったもんだからひょいと声をかけた、するとあいつがなんと云ったと思う伝さん、こうだ、……こういう眼で見やあがって、『下郎さがれ』とぬかしゃあがった、下郎さがれ、昔はいっしょに草っ原で蜻蛉を追いまわした仲じゃあねえか、幾ら出世をしたからって、なんぼ武士と町人だからって、幼な友達を下郎と云うことはねえだろう」「そうか、そんなことを云ったか」「おらあ知ってる