Japanische Klassiker mit Furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme
踏まれた草の歪む伸びよう
んだ」忠太もそろそろ酔ったようである、くるっと裾を捲くるしぐさをして(なぜなら褌ひとつで捲くる着物を着ていないから)片膝を立ててから云いだした、「あいつ、この春あたりから新北の色街へ入り浸りになっていやあがる、御家中の上役をとり巻いて遊ぶんだ、妓を取持ったり酒で殺したり、ずいぶんきたねえおべっかを遣ってるんだ、そのうえ自分でも三人とか五人妓をひっかけてるってえ評判だ、おらあちゃんと知ってるんだ、偉そうな面あしてるが、あいつはいんちき野郎だ」
踏まれた草の歪む伸びよう
「そいつは違う、それは違うぞ忠公」そう云う自分の声で、伝七郎はひょいと眼がさめた。あたりは仄白い光が漲って、森閑となんの物音もしない、いやどこか遠くで小鳥の囀りが始まっている、どきっとしてはね起き、恐る恐る見まわすと、自分の部屋に寝ているのだった。彼はほっと太息をついた。「やれやれ、おれはまた忠公の家ででも寝てしまったかと思った」それにしてもよく帰って来たと、今さら胸を撫でおろすような気持である。彼はもういちど太息をついて寝床の中へもぐり込もうとしたが、酔い覚めのひどい