Japanische Klassiker mit Furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme
んだ」「ま、待ってくれ」伝七郎はぶるぶるふるえだした、「そんなことを云って忠公、おまえそれは正気か」「もちろん正気だ、銀之丞が勇気を出せというのもそれだが、おいらあ、ゆうべっから考えていたんだ、これが浮気やちょいとした出来心かなんかなら別だが、男が性根からうち込んだ恋だぜ、誰に憚ることもねえし相手は剣術師範だ、おめえは中老の御三男で押しも押されもしねえ身分だ、心配しねえでひとつがんと当ってみようじゃあねえか」「嘘はねえ、うん、おまえの云うことに嘘はねえ、だが……」「伝さん男は度胸だぜ」と、こっちは乗りかかった船の追手に帆をかけた調子で詰寄った、「正真正銘なところを押切ってみねえな、万一いけなかったとしても、そうやって独りでうだうだしているよりさっぱりすらあ、なにごとにも極りをつけるてえことは大切だ、やってみねえ」
伝七郎にも少しずつ勇気が出はじめた。さっき銀之丞に云われたことが改めて思いだされたし、忠太郎の威勢のいい調子がなんともいえず心を唆る。そうだ、いつまで独りでくよくよしていたって浮かばれはしない、だめならだめでいっそはっきりする