Japanische Klassiker mit Furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme
と、もっともらしく頷ずいた。相手は藩の中老の息子である、いかにばかばかしくとも一概にそっけない態度はとれなかった。
「お話はよくわかりましたが、拙者の方にも存じよりがござるので、数日の御猶予が願いたい、よく勘考のうえ追ってこちらから御返辞を仕つる」「はっ、どうかお願い致します」伝七郎は二度ばかり低頭したが、ふと思いだしたので、「それから甚だ勝手ですが、お返辞はどうか、私じかにお聞かせ下さい、親どもにはまだ内聞ですから、どうか、じかにお聞かせ下さるようお願い致します」「承知仕つった」「ではその、今日はこれで……」追いたてられるような気持で座を立った伝七郎、外へ出ると思わず二三度ちから足を踏んだ。
「男は度胸、まったくだ」朝の光の輝やかしく射しはじめた巷を、こう見下ろすような感じで彼は呟いた、「事は当って砕けろという、やってみれば大したことはない、沖田先生まさに虚を突かれた形じゃないか、なにしろこっちは正真正銘の矢でも鉄砲でも持って来いというところだからな」えへんなどとたいそうな機嫌で屋敷へ帰った。
天下を取ったような気持で、その日は昏れた。