Japanische Klassiker mit Furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme
やつをびしっと食った、胡椒でも嗅いだように鼻がつーんとする、ところを銀之丞がつけて入って得意の足がらみ、肘でもって顎をぐわんと突き上げた、すべて法と手順がついているから伝七郎の体は反りざまになってすっ飛び、道場の羽目板へもっていって、だっとばかり叩きつけられた。
「だらしのない奴だ、それで十年も稽古をしたと云えるか、いいかげんに剣術なんか止める方がいい、さもないと貴様が幾ら恋い焦れたって、こんな態を見られたら美しい人に嫌われてしまうからな」「な、なにを云うんだそんなばかな」「ばかなと云ったって赧くなってるじゃないか、貴様が某家の佳人に夢中だということは看板に書いたようなものだ、しっかりしろ」「それはひどいぞ」伝七郎は腰を撫で撫で立ちあがった「幾らなんだってそんなことを、それはあんまりだ……」しかし銀之丞の方ではもう聞いてもいなかった。彼は颯爽たる身振りで向うへゆき、別の門人に呼びかけていた、「おい松川こんどはおまえだ、出て来い」
伝七郎は身を縮めるように道場を出ると、着替えもそこそこに逃げだしていった、秋とは云いわけのように暑い