Japanische Klassiker mit Furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme
愚か者にも笑う順番
「たくさんだ、そんな詰らぬことを云う暇に早く逃げろ、と云うのはなにも貴様のためじゃない、おれのためにもその方が都合がいいんだ」「貴公に都合がいいって」「こうなったらはっきり云ってもよかろう、おれはあんな娘などに未練はないんだ、むしろあんな娘と結婚することは迷惑なくらいだ、おれには少しばかり大きい野心があって、ながい間ずいぶん種子を蒔くのに苦心して来た、それがようやく実を結び始めている、今ここで剣術師範の娘なんぞ嫁にしたら、これまでの苦心の半分が無駄になってしまう、だからいつかおれは貴様に勇気をだしてやれと云ったじゃないか、おれとの試合にだって出ればよかったんだ、おれは負ける積りでいたんだからな」そして銀之丞は、静かに笑った。
愚か者にも笑う順番
「わからない」伝七郎は頭を振った、「おれには貴公の云う意味がよくわからない」「なにがわからない」「だってもし三枝どのと結婚する積りがないのなら、おれをたきつけたり試合をするなんて、面倒くさいことはぬきにして、はっきり厭だと断ればいいじゃないか、そこがおれには合点がいかないんだ」