Japanische Klassiker mit Furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme
「……そのわけならわたしが存じております」とつぜん、二人の後でそういう声がした。まったく突然だったので、二人ともぎょっとしてふり返る、そこへ三枝が静かに歩み寄って来た、そのうしろには更に忠太郎が、かなり得意な眼つきで護衛者のように付き従っていた。
「そこの杉の木の蔭で、お二人のお話はたいていお伺い申しました、永井さまには色いろ申上げたいことがございますけれど、まず一つだけ、今おわかりにならないと仰しゃったことをお話し申しましょう。村松さまがわたくしとの縁談を嫌いながら、なぜはっきり厭だと仰しゃれなかったか、それは村松さまがわたくしの父に、かなりの多額の借財をしていらしったからです、そして、わたくしはなにも存じませんでしたけれど、借財をなさるに就て父と村松さまとの間に、御出世のうえはわたくしと結婚するというお約束があったようでございました、それで、御自分から厭と仰しゃることができなかったのだと存じます」「おい銀の字……」と三枝の後から忠太が顔を出した、「とうとう化けの皮の剥げる時が来たなあ、おらあずっと前から知ってたんだ、貴様がまっとうでねえ、いんちき野郎だということをよ、伝さん、おめえにもこんどこそ正体がわかったろう」