Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
もある。ダメならダメで、ひとの知らない応用の道があるのだろうなどと考えていると、さっき出て行った刑事が、人好きのしないどこかのおばさんと、上品めかした半白の紳士を連れて帰ってきた。
おばさんのほうは、四十二、三の、見るからに逞ましい感じのひとで、寸足らずに着た紺絣のワンピースに、桃色のカーディガンを前ひろげに羽織り、素足に赤い鼻緒の下駄を履いている。眉は李香蘭の式に、一筆書きに細く描き、薄く色のついた、しゃれた縁無眼鏡をかけているのだけれども、額が狭く険しいので、せっかくのお道具が、みな額際に飛びあがっているように見えるのは、惜しかった。
遠見では、よく酔っぱらいの客をつかまえてポカポカ撲りつけている、市場通りの立飲みバアの暴力マダムに似ているようで脅えたが、いきなり石田氏のそばへ行って、
「あんた、石田さんか。うち、太田のサァちゃんです」
と裏の枯れた渋辛声で名乗ったので、これが係長の話していたお隣家の太田夫人なのだと、鈍い百々子にもすぐわかった。
石田氏は、咄嗟の間に相手を見下してやることにきめたらしく、課長室の革椅子でそっくりかえっていた、官僚の俗悪なポーズになり、ひと反り反って、乏しい口髭を撫で、いいほどの間をもって、おもむろに応対する仕掛けをしたが、太田夫人のほうには、全然、演技の感覚がなく、