Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

てな猫撫で声でフンワリと誘いかけたが、むこうも並の頭でないから、たちまち感づかれて、

「イヤヨ」

と、はっきりと断わられてしまった。

いちど頭の調子を狂わしたお隣家のお嬢さまと、むかし脳膜炎をやったことのあるうちのお嬢さまの頭の喧嘩は、最後は、どこで折合いをつけるのか、常識では想像できないようなところがあって、見ているぶんには、なんともいえないほど面白いものであった。

千々子さまは、飽きもせずに、毎日、根気よく電話で誘いかける。そのたびにお断りをくうのだが、そこは普通の頭と調子がちがうから、いっこうに苦にもならないふうだった。その点、ミドリさまのほうもおかしいので、出なければ出なくともすむのに、イヤヨというひと言をいうために、根気よく電話に出る。

こういう単調なくりかえしが、永久につづくのかと思っていたら、五日目ぐらいに、切って離したように、ハタとやめてしまった。

千々子さまは、そこで気が変って、こんどは洗濯に熱中しだした。ハンカチや小切れを洗いあげて、家裏の物干繩にブラさげ、そのそばで、機嫌よく、鼻唄などをうたっている。百々子は完全に肩すかしを食い、