Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

愛子は縁側に出て手欄から庭を見おろしていた。しかし葉子は不思議な本能から、階子段に足をかけたころには、二人は決して今のような位置に、今のような態度でいたのではないという事を直覚していた。二人が一人は本を読み、一人が縁に出ているのは、いかにも自然でありながら非常に不自然だった。

突然――それはほんとうに突然どこから飛び込んで来たのか知れない不快の念のために葉子の胸はかきむしられた。岡は葉子の姿を見ると、わざっと寛がせていたような姿勢を急に正して、読みふけっていたらしく見せた詩集をあまりに惜しげもなく閉じてしまった。そしていつもより少しなれなれしく挨拶した。愛子は縁側から静かにこっちを振り向いて平生と少しも変わらない態度で、柔順に無表情に縁板の上にちょっと膝をついて挨拶した。しかしその沈着にも係わらず、葉子は愛子が今まで涙を目にためていたのをつきとめた。岡も愛子も明らかに葉子の顔や髪の様子の変わったのに気づいていないくらい心に余裕のないのが明らかだった。

「貞ちゃんは」

と葉子は立ったままで尋ねてみた。二人は思わずあわてて答えようとしたが、岡は愛子をぬすみ見るようにして控えた。