Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

三九

木村からは送金のたびごとに相変わらず長い消息が添えられて来た。木村の葉子に対する愛着は日を追うてまさるとも衰える様子は見えなかった。仕事のほうにも手違いや誤算があって始めの見込みどおりには成功とはいえないが、葉子のほうに送るくらいの金はどうしてでも都合がつくくらいの信用は得ているから構わずいってよこせとも書いてあった。こんな信実な愛情と熱意を絶えず示されるこのごろは葉子もさすがに自分のしている事が苦しくなって、思いきって木村にすべてを打ちあけて、関係を絶とうかと思い悩むような事が時々あった。その矢先なので、葉子は胸にことさら痛みを覚えた。それがますます葉子の神経をいらだたせて、その病気にも影響した。そして花の五月が過ぎて、青葉の六月になろうとするころには、葉子は痛ましくやせ細った、目ばかりどぎつい純然たるヒステリー症の女になっていた。

三九

巡査の制服は一気に夏服になったけれども、その年の気候はひどく不順で、その白服がうらやましいほど暑い時と、気の毒なほど悪冷えのする日が入れ代わり立ち代わり続いた。したがって晴雨も定めがたかった。それがどれほど葉子の健康にさし響いたかしれなかった。