Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

わたしを恋してくれる人があるとしたら、わたし、心が即座に冷えてしまうのです。一度自分の手に入れたら、どれほど尊いものでも大事なものでも、もうわたしには尊くも大事でもなくなってしまうんです。だからわたし、さびしいんです。なんにも持っていない、なんにもむなしい……そのくせそう知り抜きながらわたし、何かどこかにあるように思ってつかむ事のできないものにあこがれます。この心さえなくなればさびしくってもそれでいいのだがなと思うほど苦しくもあります。何にでも自分の理想をすぐあてはめて熱するような、そんな若い心がほしくもありますけれども、そんなものはわたしには来はしません……春にでもなって来るとよけい世の中はむなしく見えてたまりません。それをさっきふと愛子さんに申し上げたんです。そうしたら愛子さんがお泣きになったんです。わたし、あとですぐ悪いと思いました、人にいうような事じゃなかったのを……」

こういう事をいう時の岡はいう言葉にも似ず冷酷とも思われるほどたださびしい顔になった。葉子には岡の言葉がわかるようでもあり、妙にからんでも聞こえた。そしてちょっとすかされたように気勢をそがれたが、どんどんわき上がるように内部から襲い立てる力はすぐ葉子を理不尽にした。