Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
合い乗りらしい人力車のわだちの音も威勢よく響いて来た。葉子はもう一度これは屈強な避難所に来たものだと思った。この界隈では葉子は眦を反して人から見られる事はあるまい。
珍しくあっさりした、魚の鮮しい夕食を済ますと葉子は風呂をつかって、思い存分髪を洗った。足しない船の中の淡水では洗っても洗ってもねちねちと垢の取り切れなかったものが、さわれば手が切れるほどさばさばと油が抜けて、葉子は頭の中まで軽くなるように思った。そこに女将も食事を終えて話相手になりに来た。
「たいへんお遅うございますこと、今夜のうちにお帰りになるでしょうか」
そう女将は葉子の思っている事を魁けにいった。「さあ」と葉子もはっきりしない返事をしたが、小寒くなって来たので浴衣を着かえようとすると、そこに袖だたみにしてある自分の着物につくづく愛想が尽きてしまった。このへんの女中に対してもそんなしつっこいけばけばしい柄の着物は二度と着る気にはなれなかった。そうなると葉子はしゃにむにそれがたまらなくなって来るのだ。葉子はうんざりした様子をして自分の着物から女将に目をやりながら、
「見てくださいこれを。